一般的にチョコレートと言ってもいくつかの種類に分かれています。最近ではチョコレートに含まれているカカオに健康や美容効果があると言われていますが、食べる種類によっては逆効果の可能性があります。
まずは代表的なチョコレートや準チョコレートの違いを理解してから、ハイカカオ(高カカオ)やローカカオチョコレートなどの種類も理解しましょう。
これを読めば体に良い、または悪いチョコレート、金額の高い、または安いチョコレートがわかり、プレゼントする際も悩まなくなりますよ。
チョコレートと準チョコレートとの違い
チョコレートと準チョコレートの違いは簡単に言うと「カカオ分の量の差」になります。カカオ分とはカカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキおよびココアパウダーの水分をのぞいた合計量のことです。
チョコレート製品の名称に「チョコレート」または「準チョコレート」と表示するには明確な基準があります。
チョコレート製品のチョコレートとは?
チョコレート製品におけるチョコレートとは「チョコレート生地単独」か、「生地の比率が全体の60%以上の加工品」のことを言います。
チョコレート生地単独というのはナッツやビスケットなど他の食材がなくチョコレートのみのものです。
こちらは「明治のミルクチョコレート」ですが、他に食材は混ざっていなくてチョコレート単独です。
では生地の比率が全体の60%以上の加工品とは、どのような商品のことをいうのかというと、代表的なのがこちらのアーモンドチョコレートです。
一見、アーモンドが全体の半分以上あるようにも見えるのですが、チョコレート生地が60%以上あるので商品の裏面の名称の部分にも「チョコレート」と表示されています。またクッキー記事にチョコをしみ込ませたガルボ(galbo)もチョコレート生地が60%以上なので「チョコレート」と表示されます。
このチョコレート生地ですが、カカオを使用していれば何でもよいというわけではなく、きちんと定義があります。
チョコレート生地とは?その定義
チョコレート生地とは製造前のどろどろにとけたチョコレートや原料として固まっている状態のことを言います。
チョコレート生地というためには細かい定義があります。生地には
①基本タイプ
②カカオ分の代わりに乳製品を使用したタイプ
➂ミルクチョコレート生地
この3種類があり、
①カカオ分が35%以上(うちココアバター18%以上)、水分3%以下
②カカオ分21%以上(うちココアバター18%以上)でカカオ分と乳固形分の合計が35%以上、水分3%以下のチョコレート生地を全重量の60%以上使
➂カカオ分21%以上(うちココアバター18%以上)で乳固形分が14%以上、水分3%以下
という基準を満たさないといけません。
※乳固形分は「乳製品の中の水分以外の部分」のことで、「脱脂粉乳」などがこれにあたります。
準チョコレートとは?
準チョコレートとは「準チョコレート生地単独」か、「生地の比率が全体の60%以上の加工品」のことを言います。
準チョコレート単独というのはほとんど見かけません。チロルチョコの元祖のヌガーという商品もチョコレートです。ただ、バリエーションの多くはフレーバーの配合から準チョコレート商品が多いです。
このチロルチョコレートは準チョコレートになります。
そしてこちらのピーナッツチョコは準チョコレート生地の比率が全体の60%以上の加工品です。
先程のアーモンドチョコレートは名称が「チョコレート」でしたが、このピーナッツチョコレートは準チョコレート生地を使用しているので「準チョコレート」となります。
では準チョコレート生地はチョコレート生地とどのような違いがあるのでしょうか?
準チョコレート生地とは?その定義
準チョコレート生地には①「基本タイプ」と②「準ミルクチョコレート生地」の2種類があり、
①カカオ分が15%以上(うちココアバター3%以上)脂肪分18%以上、水分3%以下
②カカオ分7%以上(うちココアバター3%以上)かつ乳固形分12.5%以上、水分3%以下
という決まりがあります。
数字が細かくてわかりにくいかもしれませんが、準チョコレート生地はチョコレート生地と比べるとカカオ分の比率が低いため、カカオの風味はとぼしくなります。
基本タイプで比べるとカカオ分の量がチョコレート生地で35%、準チョコレート生地で15%と倍以上の差があります。カカオは原料の価格が他と比べると高いため、カカオ分の比率が引くい準チョコレートは「安いチョコレート」なので、プレゼントする際には注意してください。
チョコレート製品の定義
実はチョコレートの種類別名称は、先ほど紹介したチョコレートと準チョコレートを含めて9種類あります。
- チョコレート
- 準チョコレート
- チョコレート菓子
- 準チョコレート菓子:
- カカオマス
- ココアバター
- ココアケーキ
- ココアパウダー
- 調整ココアパウダー
チョコレート菓子とは?代表的なお菓子
「チョコレート菓子」は他の食材と組み合わせて作られる菓子でチョコレート生地が60%未満のチョコレート加工品のことです。
多くのお菓子がスーパーやコンビニで販売されていますが、代表的なものをいくつか紹介します。
- 「キットカット」
- ポッキー
- きのこの山、たけのこの里
- チョコレート菓子
- コアラのマーチ
などがあります。
準チョコレート菓子とは?代表的なお菓子
準チョコレート菓子とは他の食材と組み合わせて作られる菓子で準チョコレート生地が60%未満のチョコレート加工品。
代表的なお菓子は
- チョコボール
- ブラックサンダー
- 小枝
などがありますが、意外なお菓子がこちらの「キットカット大人の甘さ」です。
先程紹介した普通タイプのキットカットは「チョコレート菓子」でしたが、「オトナの甘さ」は「準チョコレート菓子」になります。
普通のキットカットを甘さ控えめにしオトナの甘さは砂糖を減らしてカカオマスの量を増やた商品と思ったので、絶対に「チョコレート菓子」だと思ったのですが、カカオ分を減らして準チョコレート生地で作っているとは思いませんでした。
おそらく砂糖の使用量は「オトナの甘さ」の方が少ないと思いますが、カカオが少ない準チョコレート生地を使用しているのならば、チョコレート生地を使用している「普通のタイプ」の方がおすすめです。
カカオマスとは?
カカオ豆を砕いて種皮を取り除いた胚乳部を「カカオニブ」と言います。それをすりつぶしてペースト状にしたものを「カカオマス」と言います。
このカカオマスがどれくらい入っているかでチョコレートの価値が決まると言っても過言ではありません。
最近はチョコレートの効果や効能が注目されていますが、それは砂糖が多く、カカオマスが少ないチョコレートでは効果は期待できません。商品の裏面の「原材料名」の一番最初にカカオマスが書いてある商品がおすすめです。(砂糖の場合はおすすめできません)
※原材料名は多く含まれている材料から順番に表示することが定められています
【関連記事】
チョコレートの原料・カカオマスとは?カカオニブ、ココアバターとの違いや注目の栄養成分
ココアバター
カカオ豆に含まれている油脂のこと。カカオニブの約55%がココアバターです。似た名前で「カカオバター」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが同じ物です。
「ココアバター=カカオバター」
ココアケーキ
ココアが含まれているケーキのことではありません。カカオマスからココアバターを一定量取り除いて固形のブロック状にしたものです。
ココアパウダー
ココアケーキを粉砕して粉末状にしたもので、水分7%以下のもの。洋菓子の原材料としても用いられます。純ココア(ピュアココア)と同じものです。
調整ココアパウダー
ココアパウダーはそのまま飲んでも甘くないのでおいしくありません。そこでココアパウダーに糖類、乳製品、麦芽、ナッツなどを加えて、飲みやすくしたものが調整ココアパウダーになり、「ミルクココア」と同じ意味になります。
洋菓子の原材料で使用すると甘くなり過ぎるのでピュアココアと取り扱いを間違わないようにしましょう。
【関連記事】
純ココアと普通のココア、ココアパウダーとの違い!ミルクココアや調整ココアとは?
純チョコやミルクチョコ、生チョコ、ハイカカオチョコ、ローカカオチョコって?
「チョコレート」より、さらに細かく表示するには、それぞれの基準を満たす必要があります。
純チョコレート(ピュアチョコレート)
名称を「チョコレート」ではなく「純チョコレート」や「ピュアチョコレート」と表示させたい場合はさらに細かい条件があります。
純チョコレートはチョコレート生地自体、またはチョコレートの生地のみで作られたもので、
- カカオ成分はココアバターのみ、またはココアバターとカカオマスのみ
- 脂肪分はココアバターと乳脂のみ
- 糖類はショ糖のみで、使用量は全重量の55%以下
- 乳化剤のレシチンは全重量の0.5%以下
- レシチンとバニラ系香料以外の添加物は使用しない
※ショ糖:ショ糖は砂糖の中心になる糖分。ブドウ糖と果糖の2つの糖が合体している糖のこと
このように通常のチョコレートの定義よりもさらに原材料、原料配合を厳格化しています。
これらの基準を全て満たしたチョコレートだけが「純チョコレート」や「ピュアチョコレート」と表示することが可能です。
同じように「純ココア」や「ピュアココア」もココアバターが全重量の22%以上、水分が7%以下のココアパウダーを使用し、バニラ系香料以外のものを含まないものと限定されています。
ミルクチョコレート
乳製品の入ったチョコレートです。カカオマス、ココアバター、砂糖、乳製品、レシチンや香料などで作られます。乳製品は全粉乳のほかに、脱脂粉乳、クリームパウダーが使用されます。
ミルクチョコレート生地を使用したチョコレートは「ミルクチョコレート」と商品名に表現することが可能です。
生チョコレート
チョコレート生地が全重量の60%以上あって、クリームが全重量の10%以上、かつ水分(クリームに含有されるものを含む)が全重量の10%以上であるチョコレートは「生チョコレート」となります。
これを全重量の60%以上使用しているチョコレート加工品については商品名などに「生チョコレート」と強調して表示することができます。ただし、この場合の種類別名称はチョコレート生地を全重量の60%以上使用しているので「チョコレート」としか表示できません。
高カカオチョコレート
カカオマス、ココアバター、砂糖、レシチン、香料などで作られるチョコレートを「スイートチョコレート」または「ダークチョコレート」と呼ばれ、一般的にカカオマスが40%以上ものを指します。
それに対し、カカオ分が70%以上のもは「高カカオチョコレート」または「ハイカカオチョコレート」と呼ばれますが、明確な定義はなく、名所は「チョコレート」となります。
高カカオチョコレートはスイートチョコと比べて、砂糖が少なく、カカオ分が多いのでチョコレートの効果や効能が期待できます。健康のためにチョコレートを食べるのであればカカオ分70%以上の高カカオチョコレートを選びましょう。
ローカカオ、ローチョコレート
一般のチョコレートはカカオ豆を100℃以上でローストしますが、ローカカオはカカオ豆を非加熱あるいは低温で加工したもので、細かくパウダー状にしてローカカオパウダーとして販売しています。
このローカカオにカカオバターと天然の甘味料を使用し48度以下の低温処理で作られたチョコレートがローチョコレートです。
一般のチョコレートは加工される過程で生のカカオに含まれるポリフェノール、マグネシウム、鉄、亜鉛などの栄養素の多くが失われてしまいます。
一方、ローカカオやローチョコレートはカカオ豆を非加熱や低温で処理されることによりカカオ豆の本来の成分が壊されないので通常のチョコレートよりも栄養価が高いです。またカフェインの発生も抑えられるので子供や妊婦さんにも比較的安心です。
近年ローカカオ、ローチョコレートは健康、美容の観点からスーパーフードとして注目されています。
高カカオチョコレート同様に明確な定義がないので商品名にローチョコレートと名前を付けることは可能ですが、名称は「チョコレート」になります。
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ローチョコレートやローカカオとは?普通のチョコレートとの違いや健康におすすめの理由
チョコレートの定義のまとめ
チョコレートといっても細かく分類されていることがおわかりいただけたと思います。
気を付けたいのが「準チョコレート」や「純チョコレート菓子」をバレンタインやプレゼントで渡す場合に、相手の人が食べ物に詳しいと「安いチョコ」だとバレてしまうので、お返しは期待しないほうが良いかもしれません(笑)
できるだけプレゼントの場合はチョコレートやチョコレート菓子を渡すようにしましょう。
また健康や美容のためには砂糖が多いチョコレートではなく、カカオ分が70%以上含まれている高カカオチョコレートを選んでください。またその中でもローチョコレートであればさらに効果が期待できます。
もちろん、勉強や仕事で疲れた時に食べるチョコレートは普通のタイプで構いません。
それぞれのシチュエーションにふさわしいチョコレートを選んでくださいね。
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