チョコレートに含まれるカカオポリフェノールの効果効能!1日の摂取量はどれくらい?

昔は「太る」、「ニキビができやすくなる」と言われていたチョコレートも、最近は健康や美容効果があると注目されています。チョコレートの原料のカカオには効果や効能が期待できる成分がたくさん含まれていますが、その中でも研究が進んでいるのが「カカオポリフェノール」です。

ではカカオポリフェノールにはどのような特徴があるのでしょうか?1日の摂取量を含めて紹介します。

カカオポリフェノールとは?その特徴について

老化やさまざまな病気の原因と言われているのが「活性酸素」です。ある程度の量であれば問題ありませんが、

  • ストレス
  • 加齢
  • 紫外線
  • 喫煙
  • 運動不足
  • 不規則な生活(寝不足・暴飲暴食)

などにより体内の活性酸素が増えてしまうと、さまざまな悪影響を及ぼすと言われています。ただ加齢や仕事のストレスなど改善しにくい項目もあります。

そこで活性酸素の働きを抑制する作用のある抗酸化物質として注目されているのが、チョコレートやココアの主原料であるカカオに含まれるポリフェノールの「カカオポリフェノール」です。

ポリフェノールはほとんどの植物に含まれていて数百~数千種類あるとも言われています。赤ワインやお茶に含まれているということは知られていますが、チョコレートの原料であるカカオマスには、赤ワインやお茶以上に豊富なポリフェノールが含まれていることがわかっています。

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プロシアニジンとは?

カカオポリフェノールはひとつの種類ではなく、いくつかの成分が含まれた総称です。その中心の成分がプロシアニジンです。

カテキンがいくつか結合した構造を持っていてかなり強い抗酸化作用があり、多くの効果や効能が期待されています。

カカオポリフェノールの効果や効能

カカオポリフェノールの健康効果

①動脈硬化を防ぐ

動脈硬化は動脈壁にコレステロールが沈着して組織が壊され、壁が肥厚・硬化して弾力性を失いもろくなる疾患ですが、カカオポリフェノールには動脈硬化症を防ぐ働きがあることが、ラットや人への研究によって確かめられています。

東海学園女子短期大学の西堀すき江教授の研究でもカカオポリフェノールと血液の粘度の関係に着目し、一般の人がカカオポリフェノールチョコレートココアを摂取したときの血流への影響と、各種ポリフェノールを用いた試験管による比較実験が行われました。

この実験において、カカオポリフェノールチョコレートココアそれぞれの摂取前と摂取後の血流の変化を比較したところ、血液の流れが遅い(血液の粘度が高い)被験者の場合、著しい血流の改善も見られました。

参照:日本チョコレート・ココア協会第6回シンポジウム「カカオマスの血液流動性改善効果

血液の粘度は血液の流れに関係し、動脈硬化に直接影響を与える要因となります。カカオポリフェノールはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制する働きと、血液がスムーズに流れるようにすいる働きをすることから、動脈硬化の予防に貢献することが期待されています。

②ガンの予防やガン細胞の抑制

ガンの発生メカニズムにはまだ不明な点が残されていますが、一般的には、まず変異原物質が細胞のDNAに突然変異を起こし、次いで促進物質がガン化した細胞を活性化することによってガンが発生すると考えられています。

ですが、試験管内に変異原物質と同時にカカオポリフェノールを加えたところ、細胞DNAの突然変異が抑制されることが確かめられました。

名古屋大学の大澤俊彦教授はラットを使った実験で、チョコレートに含まれるポリフェノールがガンの発生を抑えるだけでなく、ガン化した細胞の増殖を抑える作用があること報告しています。

③ストレスに打ち勝つ

現代はストレス社会ですね。「ストレスを溜めない、または解消する」というのもなかなか困難な時代です。

ですが、ストレスによって分泌されたホルモンは免疫力を抑制する働きがあります。つまり過剰にストレスがかかり続けると病気への抵抗力を低下させることを意味するのです。

このストレス対策に有効だと注目されているのがカカオポリフェノールです。人間の場合、ストレスの感じ方はそれぞれ異なるため、条件を整えて実験することは容易ではありません。

そこでラットを心理的なストレスと身体的ストレスを感じる条件下に置き、カカオポリフェノールの効果を検証しました。その結果、カカオポリフェノールを与えた群は、ストレスが加わった条件下においても、ストレスがない状態と同じような行動が見られました。

また、別の実験では与えたポリフェノールの量が多い群のほうがストレスの負荷がより改善されるという結果も出ています。カカオポリフェノールはストレスに対してのダメージを抑え、ダメージを受けた場合もそこから回復させる効果が高いことがわかりました。

また心理的ストレスに対しても抵抗力を強める効果があるのです。

④アレルギー抑制効果

アトピーや花粉症などのアレルギーは大きな問題になっていますね。アレルギーを引き起こすメカニズムは

  1. ある抗原(花粉やダニなど)に接するとその抗原に対する抗体が作られる
  2. 肥満細胞にこの抗体が合体する
  3. ここに再び抗原が作用すると、肥満細胞の中のヒスタミン(炎症を起こす物質)が放出される
  4. さらに好酸球という物質の働きでアレルギー症状が強くなる

といった段階をたどります。

このプロセスを抑えることがアレルギー症状を防ぐポイントになります。

聖マリアンナ医科大学の鈴木登助教授の研究では

  • 「チョコレートは抗体の産生を抑える」
  • 「ヒスタミンの放出を抑える」

といった働きがあることがわかっています。

参照:日本チョコレート・ココア協会第4回シンポジウム「チョコレート摂取のヒト免疫能に対する影響

⑤ピロリ菌の殺菌効果

胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの疾患の原因とされているのが胃の中に生息するピロリ菌です。カカオ豆の成分には、ピロリ菌に対する殺菌効果があり、「ココアを飲むことでピロリ菌が胃粘膜に定着するのを抑えることができる」と言われています。

また、重い食中毒で知られる病原性大腸菌O‐157を死滅させる効果があることも確かめられています。

参照:COCOA REPORT「ココアのピロリ菌殺菌効果

カカオポリフェノールの美容効果

①美肌・美白効果

 

活性酸素が増えすぎると体だけではなく肌にも悪影響を与え、シミやしわが増え、たるみなどが目立ってきます。

プロシアニジンなどのカカオポリフェノールには肌の老化の防止効果や紫外線で増えるシミの元となるメラニンの生成を抑制する効果も期待されています。

ブリにチョコレート?

NHK・BSの「美と若さの新常識」という番組では魚のブリにチョコレートをエサとしてあげていました。このブリは「チョコブリ」と呼ばれているのですが、このチョコブリの刺身は5日経っても変色しませんでした

通常のブリは5日も経ったら、血合いの部分が茶色に変化してしまいます。チョコブリが変色しないのは抗酸化作用のカカオポリフェノールのおかげだと言われています。(慶応義塾大学医学部井上浩義教授のコメント)

②創傷治癒促進効果

毎日ココアを飲んでいる重症患者のケガや手術後の治りが早くなることが確認されています。(埼玉医科大学間藤卓准教授)

参照:COCOA REPORT「医療現場でのココア利用事例報告

こちらは、カカオ豆の成分が傷の治癒にどの段階で、いかに作用を及ぼすのかについては現在も研究が進められています。

このようにカカオポリフェノールだけでも多くの健康が期待されていますね。このほかにもカカオにはタンパク質や食物繊維、ミネラル、テオブロミンも注目されています。

ただし、チョコレートは薬ではないので即効性はありません。また、チョコレートで病気や症状を治すのではなく栄養補助する食品として食べてください。

ではチョコレートは何を食べても良いのでしょうか?

効果を期待する場合のチョコレートの選び方

おすすめは高カカオチョコレート

研究によって健康や美容に多くの効果が期待されることがわかってきているチョコレートですが、なんでも良いわけではありません。

市販の多くのチョコレートはカカオ豆から作られる原料のカカオマスではなく、砂糖が一番多く含まれています。その分カカオマスの割合が減ってしまうのでカカオポリフェノールの量も少ないです。

そのためできるだけカカオ分(カカオマス+ココアバター)の割合が多い高カカオチョコレートを選ぶようにしましょう。

高カカオチョコレートカカオ分が70%以上のチョコレートです。最近では明治のチョコレート効果などカカオ分70%以上の高カカオチョコレートが販売されています。

理想はローカカオチョコレート

高カカオチョコレートで問題はありませんが、こだわるならは高カカオチョコレートの中でもローカカオチョコレートを選びましょう。

ローカカオチョコレートは「48度以下の低温処理で作られたチョコレート」です。カカオに含まれる成分には熱に弱いものが多いのですが、ローカカオチョコレートであれば栄養価を損なうことがありません。

またローカカオチョコレートであれば、それだけ作り方にこだわっていると言えるので、ほとんどが高カカオチョコレートです。

一方で高カカオチョコレートでローカカオチョコレートでもあるという商品は少ないです。そのためローカカオチョコレートであれば高カカオチョコレートを探す必要はありません。

まだまだローカカオチョコレートはお店では見かけませんが、ネット販売では見かけますので、ぜひ一度お試しください。

チョコレートの1日の摂取量と食べるタイミングは?

高カカオチョコレート、またはローカカオチョコレートを購入した場合、1日どれくらい食べて良いのでしょうか?一般のチョコレートより砂糖が少ないから、たくさん食べても良いというのは間違いです。

高カカオチョコレート100g(板チョコ約1枚分)には「30代女性の1日分の脂質摂取量に匹敵する脂肪」が含まれています。これはカカオに含まれる脂質の量が多いためです。

脂質は他の食べ物でも摂取してしまうので、それを考慮すると1日の理想の摂取量は25g多くても50gまでにしましょう。

またカカオポリフェノールの効果は摂取した後で数時間しか持たないので食べるタイミングは1回で1日分を摂取するよりも数回に分けて食べることをおすすめします。

まとめ

カカオポリフェノールはまだまだ実験段階ですが、多くの効果や効能が期待されています。ただ注意する点は

  • 高カカオチョコレート・ローカカオチョコレートを食べる
  • 1日の摂取量は25~50g
  • 1日に数回にわけて食べる

という点です。

これらのルールを頭に入れて、毎日の食生活にチョコレートを取り入れてみてください。

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